2019年のシンガポールM&A案件のトラックレコードについて、Mergermarketがレポート内で公表しており、
2019年のシンガポールM&Aの案件数は、
2018年141件から2019年134件と5%減少した一方、
シンガポールM&A案件の総額は、353億米ドル(476億シンガポールドル)となり、
1年前に比べて125.6%増加しており、アジアの周辺諸国とは一線を画す形となっています。
理由としては、シンガポールが地政学的に安定している国であることから、
「安全な避難所(safe haven)」として、世界の投資家から評価を集めていることが挙げられます。
その証拠に、シンガポールは2019年10月末時点で、
国外からの銀行預金額が363億米ドルと、2016年以来最高額を記録しています。
2019年のシンガポールのM&A市場において、最も目立ったキープレイヤーは、
シンガポールの政府系ファンドであるテマセク・ホールディングスです。
彼らは2019年に不動産・インフラ業界の大規模M&Aを実施しております。
2019年10月、ケッペル社の株式30.5%を40.8億ドルで取得し、
2019年の日本を除くアジア太平洋地域でのM&A案件としては、第3位の規模となりました。
また、2020年1月にはAscendas-Singbridgeを
不動産デベロッパーのCapitaLandに110億ドルで売却し、
2019年の日本を除くアジア地域のM&A案件としては、第4位の案件となりました。
この売却案件については、Mergermarketの2019年M&A売却案件トップ5の中では、
唯一のアジアM&A案件となります。
日本を除くアジア太平洋地域のM&A活動全体としては、
2019年に3,735件の案件数で案件総額が5,653億米ドルとなり、
2013年以降で最も低い金額、2014年以降で最も少ない案件数となりました。
アジアにおいてM&Aが活発な国としては、中国と香港が挙げられますが、
世界市場シェアとしては1年前の11.4%から8.8%に減少しており、
案件総額は前年比27.6%減の2945億米ドル、案件数は17.2%減の1,735件となっております。