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【ベトナム企業から学ぶPMI戦略】なぜビナミルクは数々のM&Aを成功させることができたのか?

企業概要

Vietnam Dairy Products Joint Stock Company(Vinamilk、ビナミルク)はベトナムの大手乳製品メーカーであり、世界の乳製品企業上位50社の1社として世界的に高い評価を受けている企業である。
事業としては、練乳、牛乳、粉ミルク、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、プリンなど原乳・粉乳等を原料とした各種製品の加工・販売、豆乳、清涼飲料など各種飲料、加工食品の製造・販売、乳牛飼育・農作物栽培等を行う。

このベトナム企業がとにかくすごい。

何がすごいのかというと、
M&A後、買った会社を必ずと言ってよいほど成長させているのだ。

つまり、M&Aの約80%が失敗するといわれている中、驚異のM&A成功率を誇る

この記事は、下記の方にぜひ読んでもらいたい。

想定読者
  • M&Aで失敗するのが怖い
  • 買収した後、どうしたらよいのかわからない
  • M&Aの成功確率を上げたい

それでは、
なぜビナミルクがこれほどまでにすごいのか?を過去事例とともに見ていこう。

ビナミルクの買収・PMI戦略

ビナミルク(Vinamilk)は長期に渡り、非効率企業を買収し続け、包括的な組織再編成を行い、幾度となく業績改善(売上高と利益の増加)を行ってきた。

ビナミルクがGTNフーズ(GTNfoods)と合併したことにより、GTNフーズの子会社であるモックチャウミルク(MoC Chau Milk)はビナミルクの傘下となった。
この案件は、2019年の「最も印象的なM&A」上位トップ10に選ばれている。

ビナミルクは長年にわたり、多くのM&Aを実施し、生産面や事業面で好成績を収めている。経営力、財務力、技術力が多くの企業改革を成功させる要因だと考えられているが、
ビナミルクによる構造改革や開発戦略の全面的な転換を経て、買収した企業はどれも見事な成長を遂げている。

具体的な例として、2013年、ビナミルクは1000万米ドルを投じて米国のカリフォルニア州で最大級の生乳および関連製品の加工業者「ドリフトウッド(Driftwood)」を買収した事例がある。

ドリフトウッドは1920年に設立され、50年以上にわたり、南カリフォルニアの学校に乳製品及びジュースを供給してきたサプライヤーであり、グルメチーズ、ジュース、サラダ、ドリンク、アイスクリーム、パンなど、さまざまな乳製品や食品サービス製品を販売している。

ビナミルクは2014年に70%(残り30%に対するコールオプションを含む)、2016年に残りの30%を買収した。

ビナミルクが参加した後、ドリフトウッドの生産と経営状況は著しく変化し、1億米ドル以上の年間収益を記録した。

2019年には、投資額を2,000万米ドルに倍増させ、ドリフトウッドは同年、1億1400万米ドルの収益を達成した。

(写真)
写真の説明:酪農工場ドリフトウッドは、アメリカで100年の歴史を誇る

ビナミルクは、同じM&A方式を採用し、2017年末にベトシュガー(Vietsugar)の経営に参加しました。

2017年、ベトナム最大の乳製品生産者であるビナミルクは、Khanh Hoa Sugar Joint Stock Companyの65%の株式を購入し、社名をべトシュガーへ改名し、正式に砂糖業界に参入した。

ベトシュガーの株式65%を保有して以来、ビナミルクは、それまでのベトシュガーの中央集権的な経営から、専門的な経営原則に基づいたコーポレートガバナンスモデルに変更した。

同時に、財務会計、在庫、生産などを管理および制御するための企業経営管理ソフトウェア(ERP)システムを稼働させた。

ベトシュガーはまた、ビナミルクが長年にわたって適用してきた資金管理、在庫管理、売掛金および買掛金管理などの財務プロセスを採用した。

さらにビナミルクは、かつてベトシュガーの問題と提起されていた環境汚染、排気ガス排出量などについても、解決への支援をし、このような問題を再び引き起こさないように改善した。

その結果、ベトシュガーの収益は3倍に増加し、黒字化に成功し、2019年の利益は2018年に比べ200%以上の増益となった。

同社はまた、サプライチェーンとの関係を徐々に改善し、
原材料の主導権を握ることまで支援した。

(写真)
写真の説明:設立式典に出席したビナミルクとベトシュガーの代表者。

また、ビナミルクの事業関与の効果は、社員への社会保障にも反映されている。

ベトシュガーでは、企業再編後に従業員の雇用が安定した。

ビナミルク参加以降の2年間、社会保障が改善され従業員の平均収入は30%増加した。

従業員は毎年、健康保険や傷害保険に加入できており、また長期に渡って続いていた賃金滞納も解消している。

さらに、サトウキビ農家が安定した生産活動を続け、安定して収入を得られるように、柔軟で迅速な支払いを継続しています。

また、ヘクタール単位での金融投資や、生産を支援できる適切な価格、汚泥処理を無料で提供するなど、多くの支援プログラムと連携している。


(写真3)

写真の説明:ベトシュガーの工場では、欧米の機械と技術システムに投資をしました。完成時間や生産量を正確に把握することができます。

2019年から2020年のサトウキビ生産において、ベトシュガーは、サトウキビ農家が利益をあげ、安心して生活が継続できるように、サトウキビの輸送・荷卸しを除いた最低購入価格を各地域で追加支援することを約束している。

また、カーンホア地区だけでなく、ダクラク省マラク地区、フーイエン省ソンヒン地区など、すべてのサトウキビ農家と契約している。

ビナミルクは酪農企業と協力して、経験を積み、それによって高品質で持続可能なサトウキビ開発を構築した。

これにより、サトウキビ農家が安定した収入を得ながら、栽培を続けることが可能になっている。

GTNフーズとの最新の合併でも、ビナミルクが経営に参加した後、再び肯定的な結果を記録している。

ビナミルクは、GTNフーズへの出資比率を75%に引き上げた後、従業員を再編成し、
新しいメンバーで年次株主総会を開催した。

2020年の第1四半期のGTNフーズは、2019年の同時期と比較して1.6%増の63.2億VNDの純収益を記録し、グループ全体の7.9%という成長率に大きく貢献した。

長期にわたって、GTNフーズの粗利益率は約15%となっています。

また、同じく第1四半期には、モックチャウミルクの粗利益率が26.3%と大幅に向上した。これは、事業運営を管理し改善しているという、ビナミルクの有効性を示す過去最高の結果となった。

第1四半期の税引き後、GTNフーズの利益は、前年同時期の2.3倍の400億VNDに達している。

GTNフーズの子会社であるビリコ(Vilico)も第1四半期の利益が30%増加したと報告した。

利益成長の主な要因は、子会社のモックチャウミルクで、流通システムの再構築、販売の最適化、運営コストの削減を行ったことにあった。

現在、ビナミルクとモックチャウミルクが管理している乳牛は、150,000頭以上で、生乳生産量は1日約1,200トンに達している。

ビナミルクの代表によると、M&Aは収益面で世界の乳製品企業トップ30に食い込むための重要な戦略だとしている。

同社の2017年から2021年までの5年間の開発計画によると、ビナミルクは新興市場への投資を増やし、M&Aや事業協力を通じて、さらなる成功する子会社を構築していくとしている。



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