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【シンガポールのスタートアップ投資入門編①】 優先株式って何?優先株式を使う本当の理由とは?

シンガポールでは、年々、スタートアップへの投資は増加しており、

日系企業による投資でいうと、
Eコマース、IoT、人工知能、移動サービスなどの、最新技術を活用する企業への投資が目立ちます。

ASEANの中では、シンガポールが圧倒的な案件数を誇り、2位のジャカルタと大きな差があります。

都市 投資額(2013~2017年) 投資件数(2013~2017年)
シンガポール 8500億円 810
ジャカルタ 1700億円 210
クアラルンプール 450億円 120
バンコク 368億円 110
ホーチミン 131億円 40

 

なぜシンガポールが多いのかというと、下記の理由が考えられます。

  1. 政府による企業への積極的な優遇措置・補助金
  2. 法的安定性
    • スタートアップ投資の本場はシリコンバレーですが、シンガポールの会社法等の法律は英国法がベースであるため、海外投資家も理解しやすい
  3. 東南アジア地域での事業展開を考えるスタートアップ企業の増加

上記の通り、日系によるシンガポールスタートアップへの投資が増えている一方、

通常のシンガポールM&Aとは異なるポイントが多くあるため、実務担当者から日々多くの質問を受けます。

その中でも最も多い「優先株式」について解説しております。

・シンガポールのスタートアップ投資ではなぜ優先株式を使うの?
・そもそも優先株式って何?普通株式ではダメなのか? 等

基本中の基本ですので、一度目を通して頂くことをおすすめします。

優先株式とは

その名の通り、普通株式より「優先」的な条件が付いた株式のことです。

なので、普通株式を持っている人より、様々な点で優遇されています。

そもそも、なぜベンチャー投資の場合、優先株を用いることが多いのでしょうか。

順番に解説していきます。

なぜ優先株式を用いるのか?

優先株式を用いる理由

投資家を優遇することで、創業者と投資家の分け前をフェアにして、Win-Winな状態を作るためです

創業者と投資家の利害を調整することが、優先株式を用いる最大の理由です。

そもそも、普通株式だと、創業者が得しやすく、投資家が損しやすい仕組みになっています。

ちょっとこれだけでは分からないと思うので、具体例を見てみましょう。

投資家より創業者の方が得しやすい理由

【具体例】
創業者が資本金100万円で設立した100%のA社があります。

このA社の価値を10億円と評価し、2億円を普通株式で出資してくれた投資家がいるとします。

この場合、投資家の持ち分比率は20%です。

 

重要なのは、創業者は100万円しか出していませんが、

投資家は2億円出しており、なのに、比率は投資家の方が低いのです。

【出資を受けた時点】

創業者:80%(100万円出した)

投資家:20%(2億円出した)

 

では、仮にこのA社が、B社に20億円で売れたとしましょう。

【20億円で売却する場合】

創業者:20億×80% = 16億円(+15億9900万円の儲け)

投資家:20億×20% = 4億円(+2億円の儲け)

この場合は、みんなハッピーです。

 

一方、仮にこのA社が、B社に4億円でしか売れなかった場合はどうでしょうか。

【4億円で売却する場合】

創業者:4億×80% = 3億2000万円(+3億1900万円の儲け)

投資家:4億×20% = 8,000万円(▲1億2,000万円の損失)

創業者は儲かるものの、投資家は約1億2000万円損してしまいます。

 

上記の例でわかるように、

創業者は、125万以上で売却できれば、必ず儲かるわけです。

つまり、普通株の場合、ほぼ100%、創業者が得をするということが理解できたかと思います。

 

でも、皆さんが創業者だったとしたら、
「創業者が得するんだったら良いじゃん!」って思うかもしれません。

しかし、必ずしもそうとは限らないのです。

投資家をイジメていると、
創業者にも、回りまわって罰が当たることになります。

詳しく見ていきましょう。

得するはずの創業者を苦しめる理由

売りたいときに売りにくくなる

創業者がなぜ苦しむ理由の一つは、「売りたいときに売りにくくなるから」です。

上の例でもわかる通り、安い金額で売却しちゃうと、
創業者は得しても、投資家は損しますよね。

そうなると、投資家としては、「絶対に安い金額では売らせねー」となります。

まぁ当たり前です。

なので、創業者が売りたいときに、投資家に反対されたり、分け前で揉めて、
せっかくの売却チャンスを逃してしまうことになります。

でも、これって何が問題なのかっていうと、分配割合の問題ですよね。

だって、上の例でいうと、創業者は100万円、投資家は2億円出したわけです。

【出資を受けた時点】

創業者:80%(100万円出した)

投資家:20%(2億円出した)

⇒ 合計:2億100万円

じゃあ、誰のお金なのかは少し置いといて、
4億円で売れたら全体としては、約2億円ほど儲かってますよね

でも、その4億円を、持分比率で分配するから、投資家が損するのです。

つまり、バカ正直に普通株式の持分比率で分けるのではなく、
配分を少し工夫したら、両者Win-winになると思いませんか?

「バカ正直に比率で分けるのではなく、分け方を工夫しよう!」というのが、
優先株式で最も重要なコンセプトの一つです。

高く評価してもらいにくくなる

普通株式を使う場合、高い確率で投資家が損をするということはお分かり頂けたかと思いますが、

そうなると、投資家は、ベンチャー企業に対し、高いValuationをつけにくくなります

理由は簡単で、「自分で自分の首を絞めることになるから」です。

これだけでは分かりにくいので、詳しく説明します。

 

例えば、投資家が1億円投資する場合を考えてみましょう。

1億円を出す投資家ができるだけ損をしないためには、どうすればよいでしょうか。

 

最も簡単な方法は、「pre-valuationを低く見積もること」です。

 

pre-valuationを2億円と評価し、1億円投資をすれば、50%獲得できるので、
会社全体を2億以上で売却してもらえれば、損をしないということになります。

一方、100億円と評価した場合はどうでしょうか。

投資家の比率は1/100となるので、たった1%です。

そうなると、
将来、100億円以上で会社を売却してもらわないと投資家としては損します

 

つまり、投資家にとって、普通株式での投資におけるpre-Valuationは、
「これ以上で売却してもらわないと損してしまう」という、投資における「損益分岐点」になります。

普通株式で投資する場合、
投資家にとっては、「Pre-valuation = 投資の損益分岐点」となる

 

なので、
仮に投資家が「このベンチャーは、将来1,000億円規模の会社になるはず!」と思っていたとしても、「pre-valuationは1000億円!」とは言いにくくなるのです。

だって、1000億円いかなかったら損するわけですから。

自分で自分の首を絞めることになるのです。

 

では、次のポイントに移りますが、
「会社を高く評価してもらいにくい」というのは、創業者にとっては何が問題なのでしょうか

それは、①持分比率、②調達金額の2つの要素があります。

 

創業者は多くの場合、その会社の株式の大部分を保有しています。

だって、リスクとって起業したんだし、自分の会社ですから。

一方、投資家からお金を集めるときは、多く集まれば集まるだけいいですよね。

投資に回せるし、いろんなことにチャレンジできます。

ベンチャー企業というのは、資金調達しながらグロースしていくものです。

ただ、たくさんお金を集められるからといって、株式を一杯持っていかれたら、起業した意味ないですよね。

SNSとかで出資を受けた!って喜んでいる人をよく見ますが、

貴方の作った会社を一部持っていかれたということですよ?分かってますか?
と言いたくなります。

かといって、持分を気にしすぎると、多くのお金を集められませんが。

以上より、高く評価してもらえないということは、同じ1億円を投資してもらう場合であっても、投資家に株式を多く持っていかれることになります。

逆に、高く評価してもらえると、同じ1億円でも、少しだけしか株式をとられなくなります。

だって、1億円/100億円=1%取られるのか、1億円/4億円=25%取られるのかは、かなり大きな違いですよね。

創業者にとって、多くの投資資金を集めつつ、取られる比率を抑えるためには、高いValuationをつけてもらう必要があるということです。

まとめ

普通株式を使った場合、投資家が損しやすい設計であることに加え、
それが回りまわって創業者にもデメリットが生じるという点が理解できましたでしょうか。

つまり、創業者が儲かるからいいや!というものでもなく、ベンチャー企業への投資は、投資家と創業者がWin-winな状態になるような設計が必要になるのです。

次回は、優先株式を用いることで、どのように創業者と投資家をWin-winにするのかを解説します。

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