M&Aマニュアル

シンガポールM&A業界分析!シンガポールの建設業界における業界動向・他業界のM&Aとの違いや課題は?

1. シンガポールの建設業界動向

日本からの定年後希望移住先としても人気が高いシンガポールでは、コンドミニアムの建設が以前から活発に行われていました。

しかし供給に対して需要が追い付かず、不動産価格の下落が問題となっています。

そのためシンガポール都市再開発庁(URA)では、コンドミニアムのような民間の集合住宅の建設に関して、2019年1月から戸数規制が行われています。

対策としては、世帯当たりの床面積を増やすことによって戸数を減らすことを推進しています。

また、シンガポールでは海外からの労働力が多く流入しているエリアです。

政府は、外国人に対しても労働力の門戸を開くことに対して積極的ではあるものの、現地の人の雇用機会にマイナスの影響を与えないような対策をとっています。

例えば、労働力における外国人の割合は全体の3分の1を超えないようにするとか、外国人の労働においては労働許可証や技術者向けのSパス、雇用許可証などの取得を義務付けるなどがあります。

一般住宅以外では、国内のインフラ整備が急速に進められています。

シンガポールでは、国内全域を網羅するインフラがまだ存在していないため、政府は民間企業に委託するなどして、インフラ整備に力を入れています。

今後、こうしたインフラが整備されれば、国内全域で建設業界のニーズが高まることが予想されます。

2. 業界成長性

シンガポールにおける建設業界動向は、今後まだまだ成長する可能性が期待されています。

例えば、国内の中心部と北部を結ぶ南北回廊の大規模な開発においては、韓国企業のサムスンが受注しました。

これはシンガポールにおける大規模な開発事業の中では初の民間企業への発注ということで、注目を集めています。

この開発工事は国内の陸運インフラの中心的な存在になることが期待されていて、ほとんどのエリアが地下回廊となる計画です。

建設終了予定は2026年を目指していて、地下には全長21kmの3車線高速道路が走り、地上にも2車線の道路が建設されることになっています。

さらに、シンガポール西部のジュロン地域でも、ジュロン地域線(JRL)の延長が計画されています。

もともとジュロン地域線は東区域と西区域とで構成されていて、どちらも部分的に少しずつ開発を勧めながら、西区域には2026年までに10駅を開業し、東区域までは2027年までに7駅を開業する計画となっています。

政府が力を入れてきた住宅政策の成長が一段落した現在では、インフラの再開発や強化に力が入れられています。

シンガポールにおいては、今後まだまだ成長すると期待されている業界動向と言えるでしょう。

シンガポールにおける建設業界動向をみると、インフラ整備のニーズが日本と比べてまだまだ高いという違いがあります。

幹線道路や鉄道をはじめとして、空港のターミナルを建設するプロジェクトなどもすすめられています。

また、インフラ整備が進むことによって海外からの労働力や人口の流入が進むため、住宅のニーズも増えることが予想されます。

そのため、シンガポールの建設業界の動向としては、インフラ部門や建設部門のいずれをとってもまだまだ大きな成長が見込めるため、日系企業がシンガポールの建設業界M&Aを検討することは、大きなプラスが期待できそうです。

3. 日系企業によるシンガポール建設業界企業買収事例

海外からの企業進出が目覚ましいシンガポールには、日系企業も数多く進出しています。

日系企業におけるアジア地域でのM&Aは、もともと金融業界が先駆者となっていました。

しかし近年では建設業界の買収も増えています。M&Aの業界動向を見てみましょう。

例えば、2015年に公表された近鉄エクスプレスのM&Aでは、シンガポールを拠点とするAPLロジスティクスを1400億円で買収しました。

APLロジスティクスは自動車業界や衣料品製造に関して強みを持つ企業で、近鉄エクスプレスのM&Aによって建設業界も含めた国際総合物流を目指すことになりました。

このM&Aにおいては、APLロジスティクスは近鉄エクスプレスが100%出資する子会社という位置づけとなりました。

別のM&A案件事例としては、2018年には建設業界でよく知られている鹿島が、シンガポールの現地法人となるカシマ・オーバーシーズ・アジア(KOA)を通してインターナショナル・ファシリティー・エンジニアリング(IFE)を買収しました。

このM&Aにおいては鹿島がIFEの株式全体の75%を所有することになりました。

もう一つ、2018年には未上場の日系会社がベトナムの建設会社を買収し、シンガポールにオフィスを構えるというM&Aを行いました。

目的は事業拡大のために行ったM&Aで、120億ベトナムドルで買収したのち、親会社が株の54%を保有するという買収形態となっています。

4. 建設業界におけるM&Aの業界動向

他の業界と比べると、建設業界ではM&Aが進みにくいという違いがあります。

その理由はいくつかありますが、この業界においてはプロジェクトの規模を大きくすることによって費用対価を効率的に抑えることができるという「規模の経済」が働きにくい業界動向であることが大きな理由と考えられています。

さらに、シンガポールでも日本でも、公共事業における入札参加資格が限定されることが多いため、M&Aのチャンスを逃しやすいという点も考えられます。

5. 日系企業がシンガポールでのM&Aが人気の理由

海外M&Aが進みにくいと言われている建設業界ですが、日系企業は以前からアジアへの海外進出を目指していて、現在では日本政府からの助成金など支援体制も整備されています。

そうした整備やサポート体制が、シンガポールの建設業界のM&Aを後押ししているのかもしれません。

日系企業では、日本国内市場での需要が伸び悩む傾向にあり、企業のグローバル化によって市場の拡大が期待できます。

特にシンガポールをはじめとする東アジア地域では、インフラ整備を行っている段階の開発途上のエリアもあるため、日本企業にとっては進出しやすいエリアなのです。

6. 中小企業もM&Aが可能

海外企業の買収というと、資金力が豊かな大企業の企業戦略だというイメージがあります。

しかし、高い技術力を持つ日本企業の中には、中小企業でも海外M&Aに乗り出す企業が増えています。

自社が持たない強みをM&Aによって手に入れることができる他、市場の拡大や労働力の確保なども期待出来るため、今後もグローバル化に伴ってシンガポールにおける建設業界のM&Aは増えていくことが期待されています。

7. シンガポールへ進出している日系建設企業は多い

シンガポールへ進出している建設業界の日系企業はたくさんあります。

例えば、現地の企業を買収しながら現地法人展開をする大林組は、すでにアジア地域においては40年~60年の実績を持っています。

その他にも、奥村組や東急建設、戸田建設など多くの企業が現地法人として、シンガポール内の建設業に貢献しています。

8. シンガポールの格付け制度

シンガポールの建設業者が公共事業の建設工事に対して入札を行う際には、格付け制度によってランク付けされることになります。

これは、建設業者の入札有資格者すべてに行われている制度で、建設業者が請負企業登録機関へ登録する際に、それまでのシンガポール国内における資本力や技術力、そして施工実績などを総合的に審査されて、ランク付けをされるというシステムです。

格付けシステムは日本国内の公共事業の入札においては適用されていないため、この点が日本での入札と大きな違いとなっています。

9. シンガポールの入札の仕組み

シンガポールで公共事業プロジェクトでどの業者へ発注するかを決める際には、公開入札、指名入札、限定入札という3つの入札種類があります。

公開入札ではシンガポール政府の電子ビジネスサイト上で入札情報が公開されるのに対し、指名入札ではランク付けによって選抜された企業のみが入札できるシステムとなります。

また、限定入札では、政府から指名された1社もしくは関連する企業グループが指名を受けて応礼するという形態となります。

10. 日系企業がシンガポールでM&Aを行う際の注意点

海外M&Aが広く浸透している建設業界ですが、日系企業がシンガポールでM&Aを行う際には、現地の声をしっかりと反映させたM&Aを行うことが大切です。

成功するM&Aと失敗するM&Aの大きな違いは、現場の声にシッカリ耳を傾けるかどうかという点かもしれません。

建設業界において最も避けたい損失は、建設現場が滞ってしまう事なので、日本と現地の声の違いを理解しながら慎重にM&Aをすすめましょう。

11. シンガポール政府は優良企業の誘致に積極的

建設業界に限らず、シンガポール政府は世界各国の優良企業に対して、自ら積極的に誘致を働き掛けることが少なくありません。

その中には、M&Aや誘致の過程で公表される案件もありますが、公になることなく話がすすめられるケースも多いと考えられています。

これは、シンガポール政府が自国をより良い国にするため、優良企業を誘致することがシンガポールにとってプラスになると考えているからです。

12. シンガポールの建設業界動向を知るなら現地法人が理想

国内企業同士のM&Aとは違い、シンガポール企業とのM&Aでは、日本にいながら現地からの情報や業界動向を知ることは簡単ではありません。

特に、シンガポールをはじめとする東南アジアにおけるM&Aでも優良案件の場合には、シンガポール国内の中でも限られたコミュニティの中で交渉が進められるケースが少なくありません。

そのため、M&Aでは事前に現地において独自のネットワークを構築しておくことが必要不可欠です。

建設業界においてもそうしたノウハウや現地動向を知る手段は同じです。

日本国内でのM&Aとの違いを理解した上で、現地法人を作って現地での活動をスタートした上で、M&Aも視野に入れながら少しずつ現地における企業規模を拡大するのが得策かもしれません。

シンガポールにはM&Aを専門に取り扱うサービス業者がたくさんあるため、そうしたサポートを受けることもおすすめです。

13. シンガポールへ一部部門を誘致する企業は多い

現地の企業を買収するM&Aではなくても、企業の一部の機能や部門をシンガポールへ誘致したり新設する日本企業は少なくありません。

例えば2014年には、三菱重工がアジア統括会社をシンガポールに設置し、新嘉坡フライヤーの建設に携わるなど、現地の建設業界に大きく貢献しています。

現地に機関や機能を配備しておくことで、シンガポールにおける公共事業関連の入札情報などが入りやすくなりますし、M&Aについてもより詳細な現地の声を入手することが可能となります。

14. 業界をまたいだM&Aが活発

建設業界におけるM&Aでは、建設業界内でのM&Aだけではなく、別業界から強みや特徴、技術力の統合を目指したM&Aも多く行われています。

これはシンガポールでのM&Aにも適用できる戦略ですが、シンガポールでは企業の格付け制度があり、これまでの実績や施工例などによって入札の可能性が違います。

業界動向を見据えながら、文化や制度の違いを理解した上で、業界をまたいだM&Aも視野に入れたグローバルな企業活動をする事が、今後全ての企業に求められる課題なのかもしれません。

15. 今後シンガポールの建設業界M&Aにおける課題とは?

シンガポールでは、海外企業によるインフラ整備や建設プロジェクトが国内のあちこちで進められています。

そこには日系企業をはじめとする海外企業も多く関わっていますが、今後の課題としては、外国人労働力と現地の労働力とのバランスをどのように取っていくか、という点が挙げられます。

シンガポールでは外国人労働力に関する規制がありますが、それ以外にも賃金や労働の品質などについても、外国人と現地の人との間には違いがあるかもしれません。

また、日本国内では建設業界でも週休2日制を導入していますが、シンガポールの労働環境についても、日本とは違いがあります。

そのあたりの違いを理解しながらシンガポールの風土や環境、文化や風習に合わせることで、今後長くシンガポールに根付いたビジネスを展開することにつながります。

東南アジアM&A案件をお探しの方へ

クロスボーダーM&Aプラットフォーム「ドマンダ」では、様々な東南アジア案件をご紹介させて頂いております。

国内のM&A・事業承継案件とは異なり
東南アジアの優良案件情報は、限られたコミュニティの中でのみやり取りされることが多く、独自のネットワーク(人脈)があって初めて入手可能な情報となります。

また、先進国でのM&Aのように、プロセスが機械的に進むケースは稀であり、先方と密なコミュニケーションを取りながら、情報開示やインタビュー設定等のリクエストを実施することで、先方の売却準備を促すことも重要なプロセスとなります。

以上より、東南アジアのクロスボーダー案件に精通した現地のM&Aアドバイザーとの接点を持つことが重要であると考えております。

24時間いつでも案件のご相談をお受けしておりますので、
クロスボーダー東南アジアM&Aをお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この案件についてお問い合わせ